2017年文学フリマDebby Pumpアワード

この一年で文学フリマに出品された作品の中から、特に優れたものを、Debby Pumpが独断により決定し表彰する賞。(※文学フリマ事務局様公式の企画ではありません)

受賞者コメント

 

 お世話になっております。Debby Pumpです。

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

 各賞受賞者の皆様にコメントをお願いしましたところ、快くご対応いただけましたので、こちらに掲載いたします。

 まだコメント執筆中の方もいらっしゃいますが、私が受領でき次第随時追加する形とさせていただきます。

 

 順は、当選作発表等における各賞の順と合わせます。

 

●最優秀小説冊子賞 『猫の都合をきいてきて』

斉藤ハゼ様(やまいぬワークス)

このたびは「最優秀小説冊子賞」に拙作「猫の都合をきいてきて」をご選出いただき、ありがとうございます。

常々テキストを書く上で、誰か一人が読んでくれたらいい、その一人と出会うために、最大限に整え研ぎ澄ましたものを作ろう、と思っています。
その、一人、は、まったくの知らない人がいい。
知り合いだから読むとか、そういうのは有難いけど、嬉しさとしては二の次です。

一番の願いは、まったくの知らない人に読んでもらうこと。
そして出来たら、本を通じて、何かを渡せたらいい。
ずっと、そう考えていました。

今回の受賞は、私の本が一人の読者によく読まれ、届いた、確かな証です。
読んでいただき、本当にありがとうございました。

 

 

●最優秀詩歌冊子賞 『水星たちの夜』

 ちずぐみ様(犬と南港)

このたびは拙作をご選出頂き、誠にありがとうございます。発表のありました年末から今に至るまでひしひしと喜びを感じております。
これまで徒然なるままに書き留めていた短歌を、行ってこい!と、今回初めて作品として世に送り出しました。
それらがまさかこのように丁寧に選評して頂けるとは本当に予想外で、全く幸せ者です。
それにしてもデビー・ポンプ様の選評は、作者自身よりも作品のことをわかっていらっしゃるのではないかという…はっとさせられるものでした。うふふ

最後に、このような素敵な企画を立てて下さったデビー・ポンプ様に改めてお礼を申し上げます。

 

●最優秀小説作品賞 『Vertigo』

日谷秋三様(Lousism)

どうも、日谷秋三と申します。まだまだ到らぬ身ではありますが最優秀小説作品賞に選んで頂きまして誠に有り難う御座います。とても素晴らしいレビューまで書いて頂いて「凄い! 作者だけど俺こんなに詳しく自分の作品を説明出来ない! ノリと勢いで突っ込んだWikipediaまでちゃんと意味を説明してくださっている!」と感激の極みであります。些か取っ付きにくい作品ばかり書いていると言われておりますが、これからも皆様宜しく御願い致します。

 

 

  ●最優秀詩歌作品賞 『オオオミアシノ、カンパネルラ』

 遠藤ヒツジ様

この度「2017年文学フリマDebby Pumpアワード」の最優秀詩歌作品賞に選んでいただきました。
まずは主催であり選者のDebby Pump様に感謝します。
それからアワードのきっかけとなっている文学フリマと、本アワードに興味を持たれた方々へ感謝します。
そして、拙作「オオオミアシノ、カンパネルラ」が掲載された『次なる宇宙のために』を編纂してくださったメルキド出版-エクストラへも感謝します。

私事ではありますが、かつて書いた拙作にはこんな詩語があります。
 <詩は誤読されてかまわない/詩人は誤記するばかりだ>(「しとねるシーツ」)
私の書いた詩のすべては読者にそっくり受け入れられはしないし、詩人も詩の本質をそっくり言葉に書き写すことはできない、という意味を込めた言葉です。
また同時に詩はどのように読まれてもいいし、詩人はどのように書いても構わないという自由への宣言でもあったように思います。

今回、Debby Pumpさんが<正直に言って、作品の「意味」はわからない。しかし、胸を打たれた>という言葉は僕の詩的態度にとても寄り添ってくれました。わからないけれど伝わっている――そのことが嬉しく思いました。
「オオオミアシノ、カンパネルラ」を通じて、読者と作者が互いに別の詩的論理を読み取ることができた――嬉しい年納めの受賞でした。
光栄に思います、多くの皆様に改めてありがとうございました。
(遠藤ヒツジより)

 

 

●最優秀エンタメ賞 『味噌からの自炊学 Ⅱ+B [麦茶ート式]』

 神聖自炊帝国様

 こんにちは。神聖自炊帝国です。
 今回は「最優秀エンタメ賞」をいただけたこと、大変嬉しく思っております。このように素敵な賞を受けるのは、夢の中でノーベル文学賞を受賞して以来のことです。
 この『麦茶ート式 自炊学II+B』は名前からもわかる通り、茶ート式自炊学シリーズの二作目です。一作目は『抹茶ート式 自炊学I+A』ですが、現在はどちらも在庫切れになっています。本書と偶然にもパッケージがよく似ている某有名出版社の参考書がありますが、それと勘違いして購入された方が多かったせいでしょう。
 自炊学シリーズのコンセプトは『何の参考にもならない参考書』です。この一見矛盾した概念を実現するため、我々はただでさえ少ない脳味噌をぎゅうぎゅう振り絞って原稿を生み出しました。それでも思うように字数が増えなかったため、苦し紛れに宮沢賢治を引用し、ウィキペディアを借用し、他人の作品のアイディアを盗用し、どうにかこうにか本としての体裁を整えました(ただし他人のアイディアを盗用した部分については、残念ながら検閲に引っかかって出版前に削除されてしまいました)。
 そうして完成した本書は、着火剤にしては心許なく、鍋敷きにしては断熱性に欠け、重石にしては軽すぎ、団扇にしては嵩張るものとなってしまいました。別の何かと間違えて購入してしまった方々は、それぞれの好きな方法で本書を精一杯活用してください。万が一これを本だと思って購入してくださったのなら、これ以上の喜びはありません。
 今後とも帝国民一同、より一層ろくでもない作品を生み出すことに全力を尽くしていきたいと思います。
 改めまして、今回は本当にありがとうございました。